第1回 公園再生、地縁団体、そしてコミュニティづくり~予告編


町なかの小規模公園は地域社会で大切な役割を果たしています。幼児期には母親に連れられ砂場・ブランコ・すべり台を楽しみ、小学生になれば友達と公園でいろんな遊び、中高校生になれば公園で町内会のお祭りに参加、親になれば母親が幼児と伴に地域社会で公園デビュー、イクメンパパも休日には公園で子供の遊び相手になります。歳を取ったら老人会の仲間と公園でグラウンドゴルフをして交流ができます。家の縁側や共用の井戸が無くなった現在でも、「井戸端会議」ができる市民の数少ない空間です。私たちが一生を通じて利用できる市民の財産です。そのように公園は誰でも気軽に出入りし利用できる、多様な可能性を持っている貴重な公共施設です。

もともとこのような町の公園は、ブランコ・すべり台・砂場を備えた「児童公園」の特徴がありますが、都市公園法により「街区公園」として作られてきました。しかし少子高齢化という時代の変化もあり、あまり使われず雑草が繁茂する公園も目立つようになりました。そこで広島市は新しい施策として「身近な公園再生事業」を2005年から始めました。この事業は、地域の住民団体が自主的な活動として街区公園の再生を行う際に、材料費について10万円を限度に支援するものです。材料は自治体が提供するので、住民が望むように住民の手で、使いやすい公園にして下さい、というわけでこの施策は現在も継続されています。

住民団体(地域コミュニティ)による地域資源の利用・管理の現状を知りたいと私は思っていたので、広島市のこの事業に興味を持ちました。広島市の担当課にお願いをして、調査への協力を頂きました。広島市の西区、佐伯区、中区、南区、安佐南区の中で、この事業を実施した49の公園と地元団体を対象に、2009年9月から2010年3月までの期間に訪問して、公園再生活動の責任者にお会いし聞き取り調査を行いました。その調査データを『公園再生とコミュニティ形成に関する地域活動』調査報告書に纏めて、広島市の担当課に提出し、私が訪問してお話を伺った地域団体の方々に差し上げました。

当時の調査結果を「コミュニティづくり研究所」の記事として報告することは、このホームページの閲覧者の方々に有益ではないかと思い記事にすることにしました。但し7~8年前の聞き取りなので、現在は何らかの変化が起きている可能性はありますが、過去であっても事実は事実としての価値があると思い、ここに掲載することにしました。また訪問した49地域のすべてを紹介することは無理なので、一般的な例あるいは注目すべき成功例とかユニークな例などを取り上げたいと思います。

調査の内容は大きく公園再生の活動に関するものと、その事業を実施した地元団体(町内会や老人会など)によるコミュニティづくりの活動に関するものがあります。先ず前提としてどのような地域なのか、その地域の数も多く容易ではありませんが、それを紹介することが必要でしょう。第二に公園再生事業の活動内容、そして第三に事業の活動主体である町内会や老人会などの地縁団体・グループの活動内容、という順に記事を書いて掲載する予定です。これからの連載記事になりますが、書いてみなければ何回続くかまだ分かりません。数多い49の地域を見渡して有意義な情報を抽出することは簡単ではありませんが、私なりに努力したいと思いますので宜しくお願いします。(中島正博)

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