新型コロナウィルス感染対策とコミュニティの可能性

新型コロナウィルス感染対策のために私の町の諸行事は当面中止になりました。町内の集会所で行っていた太極拳も百歳体操も今はありません。私が通うスポーツジムは3月12日から再開しましたが来場者は激減しています。それは感染しやすい環境を避けるためですが、感染しにくい心身を保つには逆にマイナスにもなります。高齢者が1カ月でも家に籠ると、体力の減退は避けられないでしょう。感染対策にこのような措置は必要ですが、この状態がいつまで続くのかまだ分かりません。今後どのように感染が推移するか分かりませんが、「ピンチをチャンスに」の発想で、この危機を克服する一助として、長期的な視野で地域コミュニティにできることを考えてみました。

地域コミュニティには何ができるでしょうか。運動不足について考えれば、人通りの多くない道であれば、安全に散歩することができるので、心身の健康に有効でしょう。一人で散歩するのがおっくうな人は、近隣の知人や友人と歩くのも良いと思います。また日用品や食料の買い物の外出に関して、単なる風邪なのに咳が出るので、他人の目や心情を気にして、スーパーへ買い物に行くのを、はばかる人もいるでしょう。そんなときには隣人か友人に電話をして、買い物を依頼することもできます。また万が一感染して、軽症で自宅隔離を強いられる事態になったら、隣人が代わりに買い物をして安全な方法で患者に届けることは可能でしょう。これらの助け合いの実施のためには、感染しないコミュニケーションが必要ですが、電話やスマホの存在が救いです。

学校の休校に伴って、共働き家庭の子どもに自治体が支援の施策を講じています。但し行政には個々の家庭の細かい事情は分かりません。行政が行き届かない住民のニーズについては、地域の隣人が支援をするなどして、助け合うことが可能でしょう。他人の家庭の子どもの世話をするのは簡単ではありませんが、給食付きで子供預かりをする「こども食堂」がすでに現れています。最近、頻発した洪水などの甚大な自然災害でも、コミュニティの助け合いの重要性が分かりましたが、今回も地域コミュニティで助け合う知恵を出せれば良いと思います。インターネットの情報によれば、すでに対策を考え始めている町内会もあるようです。

地域コミュニティでも会社コミュニティでも知人同士でも、互いに会う機会が減るのは避けられません。そんな時に活躍できるのはインターネットです。すでに「インターネット飲み会」を実験的に実施したグループもあります。また感染防止のために、個人の移動を助けるアプリも開発されるでしょう。現代の通信手段の発達が、コロナ災害を克服するために役立つと思います。人間の知恵は危機をチャンスに変えます。この記事で先に書いた提案は、危機がなければ実現できなかった互助活動です。危機に直面し人間の知恵を思いっきり発揮して、助け合い「コミュニティ」を構築するチャンスに変える可能性があると思います。この災害の被害を最小限に止めるためには、政府の政策や財政支援だけでなく、草の根の助け合いが必要ではないかと思います。

最後に、この「見えない敵」と戦うには、人間の心の強さが必要だと思います。この敵はすでに人の心にも侵入しているからです。身近な例では、休校措置によって子どもは家の中に閉じ込められ、親を巻き込んで危険なストレスが増幅しています。職場では「コロナでは?」と疑心暗鬼の空気も生まれています。世界を見ると、新型コロナウィルスに対する恐怖は、東洋人に対する攻撃に変わり、人種差別的な言動が世界各地で現れています。恐怖や憎悪はフェイクニュースやデマの温床になります。私たち自身もヘイト的な感情や言動を慎まなければなりません。求められるのは冷静さを保つ心の強さでしょう。

地域のコミュニティも国際的なコミュニティも、信頼と協力によって、地球を覆ったこの災害を克服する他ありません。地球の気候変動の危機に対して世界は団結できない現在、もしこの新たな戦いで世界が信頼と協力を構築することが出来たら、このウィルスとの戦いは世界平和への過程として、歴史の上で大きな意味を持つことになるかも知れませんね。(中島正博)。

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