町内会・自治会の持続可能な発展のために

地域コミュニティ団体の代表格は何といっても町内会や自治会などでしょう。広島市は町内会の活性化に役立つQ&Aをホームページに掲載しています。

その中に広島市全体の町内会の住民の加入率の経年的な変化が示されています。平成24年度から28年度にかけて64%から60.6%に、毎年約1%の割合で減少し続けています。住民の加入率は長い間減少し続けており、長期的な減少傾向は全体的には簡単に変わらないでしょう。その減少傾向の理由は住民の側にも町内会の側にもあると思います。例えば町内会の存在さえ知らない住民がいることから分かるように、町内会に加入しなくても地元で生活できます。また町内会などの地縁コミュニティよりも、例えばSNSなどで手軽に参加できるコミュニティは、話題や集会のニーズに迅速に反応できるので、より身近に感じることも多いでしょう。

広島市のホームページには町内会の役割として、祭りや運動会などの行事の開催、道路・公園などの清掃、防災・防火・防犯活動、交通安全の推進活動、青少年の非行防止・健全育成のための活動、高齢者などの福祉増進のための活動などが挙げられています。言わば地域社会の安全・安心であり、セイフティネットでもあります。住民が地元で安全・安心に暮らすための役割を目指しています。その目的が周知されていれば、参加は自由なので現状で良いのかもしれません。安心・安全の促進は地味ですが、セイフティネットから漏れる人びとがいると社会の不幸なので、住民の加入率の減少は好ましくないでしょう。町内会の在り方に関する議論は沢山ありますので、今回は町内会の存続を健全に維持するための一つの工夫について、私のアイデアを述べたいと思います。

町内会でいろんな活動がされていますが、その町内会活動を支えているのは役員さんたちです。例えば住民の要望で町内会長になってもらいたい当人は、大きな仕事を抱え込むことになるので、普通は積極的にはなりたがりません。各地の団体にもよりますが、世話役に一応の任期はあっても再選されて、結局辞められなくて困っている会長さんが多くいます。ある方は実例を挙げて、「死ぬまで辞められない」とこぼしていました。他の役員にも、なかなか交代してもらえない人びとがいます。そうすると、少数の世話役の人たちに大きな負担が長く続きます。その家族にも負担が続きます。これでは多くの人は世話役になることを躊躇するでしょう。このような町内会の存続を危うくしたり、住民の加入率が減少したりすることを防ぐ工夫はないでしょうか。私がここで述べたいのはそのようなリスクを減らす一つのアイデアです。

そのカギは役員のように町内会で「責任」を正式に負っていない、ボランティアグループの存在です。参加するもしないも自由ですが、自分が参加できる時に、町内会活動のお手伝いをする人たちがいれば、役員さんたちの負担を減らせます。そのようなグループの全国的な代表格は「おやじの会」かも知れません。地域の児童の父親でつまり「おやじ」です。おやじの会は過去20年近く増え続けて、今は全国で4000団体以上あるそうです。やりたい人がやる、自発的な活動で上下関係はないグループです。情報交換ための「全国おやじネットワーク」もあります。そのようなおやじの会に限らず、地域には小さな同好会や仲良しグループがあるでしょう。そんなグループがボランティアとして、あるいはボランティア意識は無くても、ただ面白そうだからと、様々な行事がある時に、体力を提供したり、料理を作ったり、子供の世話をしたり、飾りつけをしたりなどと、諸事を分担して役割を担ってくれたら、「義務」や「責任」で役割を担っている役員たちの負担が大きく減ります。いわば「お助けグループ」のような役割です。グループの人たち自身も一緒に活動するのは楽しいでしょう。すでにそのようなグループが存在する町内会もあります。

その効果として、役員ができないから町内会に参加しない、という人たちや、夫婦共働きなので時間的に役員ができない、という人たちも減るでしょう。また現在の町内会活動や行事で精一杯だから、町内会をより魅力的にする新しい事はできない、という状況も変わると思います。この提案はいくつかの町内会の実例を基にしたのですが、猫の手も借りたいほど人手が不足しているみなさんの町内会にも、そんな可能性を秘めた小グループがどこかに存在していませんか?(中島正博)

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