コミュニティの役割を考える4つの分類

コミュニティづくり研究所のブログでは人びとの社会集団を一括して、「コミュニティ」と表現してきました。それは広い意味での「コミュニティ」ですが、役割を考えると幾つかのタイプのコミュニティに分類できます。すなわち狭い意味での「コミュニティ」、さらに「共同体」、「市民社会」、「中間団体」などであり、何に注目して社会集団を捉えるかによって、このように集団を言い表す言葉や意味合いが異なってきます。それぞれのタイプの集団の役割や特徴に焦点を当てることによって、コミュニティのさまざまな可能性が見えてくるように思います。コニュニティの役割や特徴に注目して、上述の4種類のタイプに分けて以下で説明します。

先ず、本来の狭い意味の「コミュニティ」は、人びとの繋がりに注目して、地域や興味・関心などを共有する集団です。例えば地域コミュニティ、町内会、趣味の集まりなどがあります。

「共同体」と呼ばれるコミュニティは、人びとの帰属意識や連帯に注目して、仲間意識、共有された慣習や相互扶助が特徴になる集団です。例えば昔からの村落、伝統的な地域社会、水・森林・海などの自然資源を利用する入会集団などがあります。

「市民社会」は、国家や行政から命令されるのでもなく、市場で利益を追求する企業活動でもなく、人びとが自由な意思で参加し、社会をより良くするために活動する場を指します。つまり国家の領域ではなく、市場という領域でもなく、人びとが自発的に公共的な活動をする「社会の領域」に注目する概念です。例えばボランティア団体、市民運動、環境保護活動、NGO、NPOなどの活動が行われる領域です。

「中間団体」と呼ばれるコミュニティは、個人と国家の中間にあり、両者を媒介する「組織・団体」です。つまり個人が直接、国家や社会全体と向き合うのではなく、その間に組織が存在して、人びとの交流、利益の調整、社会参加などを担います。例えば労働組合、町内会、市民団体、NPOなどです。

これらの「コミュニティ」、「共同体」、「市民社会」、「中間団体」など4つの分類は互いに独立した別々のものではなく、集団の何に注目するかによって、どの分類がより相応しい言葉であるか、ということです。一つの社会集団が複数の分類に重なり合うこともあります。

例えば、地域の防災活動を行っている一つの町内会を、4つの分類の視点から見ることができます。例えば「コミュニティ」として見ると、同じ地域に住む人びとが、防災という「共通」の関心を通じて「つながって」いる側面があります。「共同体」として見ると、住民が互いを「仲間」として感じ、「助け合い」の関係を築いている側面。「市民社会」として見ると、住民が「自発的」に地域や社会の課題に取り組み、「公共的」な活動を行っている側面。「中間団体」として見ると、住民と国家(行政)を「媒介」して、住民の要望を集約する「組織」の側面があります。

すなわち防災活動という一つの現象には、つながり、仲間・助け合い、自発的で公共的な活動、個人と行政(権力)を媒介する組織、という異なる側面(特徴)があり得るのです。但し、町内会が4つの分類の特徴をすべて備えているわけではないし、その必要もありません。単に4つの役割を持つ可能性があり得るということです。4つに分類する視点となる特徴の例を列挙すれば以下の通りです。

  • コミュニティ:共通性・つながり
  • 共同体:帰属意識・連帯
  • 市民社会:自発的活動・公共性
  • 中間団体:組織・媒介

このように何に注目して社会集団を捉えるかによって、異なる分類のコミュニティが見えてくることが分かります。私たちは、現存する人びとの社会集団をどのようなコミュニティに育てたいのか、あるいはどのような新しいコミュニティを創りたいのか、などと考えることがあるかも知れません。ここに述べたコミュニティを見る4つの視点は、そのような時にコミュニティの評価をしたり、仕組みの改善を考えたり、目標を設定したりする時に役立つかも知れません。(中島正博)

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