町内会・自治会の活動と頻発する自然災害

(出典:中国新聞2021年8月22日)

今年の夏も日本列島は豪雨災害に見舞われました。災害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。全国的な豪雨の中で中国地方にも記録的な降雨量がありました。3年前の西日本豪雨のような広範囲で甚大な被害は免れました。近年全国的に続く大きな水害や土砂災害からの学びによるのか、住民の避難が以前よりも比較的積極的に行われたのかも知れません。広島で避難した人たちのことを聞きますし、メディアの報道でも避難を勧めた町内会長さんの活動が報じられています。

広島市西区の田方三丁目で起きた土石流では、建物被害はあったものの人命にかかわる被害はありませんでした。中国新聞(8月18日)によれば、土石流が起きた時、田方の町内会長さんは、町内の一人暮らしの高齢者が避難できたかどうか確認に回っていました。土石流を目撃した会長さんは逃げて無事でした。このように町内会の責任者や自主防災会の担当者の防災活動が行われています。

広島市は町内会・自治会等の現状や課題を把握し、「地域コミュニティビジョン(仮称)」策定の基礎資料とする目的で、市内のすべての町内会・自治会等を対象にした実態調査を2020年8月から11月にかけて実施しました。地域コミュニティの重要性は増しているのに、2020年の町内会加入率は広島市で56%にまで減少しており、行政側に危機感があるのでしょうか。このような調査は広島市では初めてのことだそうです。その調査結果として『広島市町内会・自治会等実態調査報告書』が今年5月に発表されました。調査内容は非常に多岐にわたりますが、防災に関連する質問と回答が含まれており、その内容に限定して紹介します(分りにくい文章が回答にある場合は少し変えました)。このアンケート調査の結果から、防災活動に対する町内会・自治会や住民の思いが多少伺えるでしょう。

  1. 全単位町内会・自治会長を対象(1,918団体)にしたアンケート調査(回収率76.0%)から:

・過去10年ほどの間、町内の地域活動や取組を大きく左右した現象として、3番目に土砂災害、水害、火災、地震が挙げられている。

・町内会・自治会に属する諸々の部会や委員会の中では、防犯・防災部が最も多い。

・町内会・自治会長が役員を兼任している地域団体は、自主防災会・地区自主防災会連合会が最も多い。

・緊急時の災害対応で負担になること:避難所の開錠(特に夜間)、最近の災害は突発的で規模が大きく避難場所や避難のタイミングの周知が一律的にできにくい、住民が避難行動を起こさない、避難指示が出た際に声掛けに応じない高齢者に対する説得作業、などが挙げられている。

・今後、町内会で充実させたい活動として、防災・災害時の活動が最も多い。

・最近(過去3年くらい)開始した取組として、西日本豪雨を契機に、行政の指導も受けながら、自主防災の担当役員を中心に、周辺町内会と合同で防災マップを作った、との回答がある。

・町内会活動に協力してくれる団体に、今後協力を最も希望する活動として、災害時の協力協定の締結が挙げられている。(避難場所の提供であると思われる。)

2. 全小学校区相当を活動区域とする地域団体(地区社会福祉協議会や自主防災会等)の会長を対象(217団体)としたアンケート調査(回収率89.9%)から:

・活動区域のコミュニティの活力度について、どのように感じているか、との問いに対して「災害時等いざというときには助け合う」が最も多い。

・コミュニティ活力度は、以前(5年くらい)と比べて変化したか、との問いについて「災害時等いざというときには助け合う」が最も多い。

・業務負担として大きいのは、自主防災組織による防災・避難所の開設に関わること。避難所の運営は役員の誰もが参加したくないので、避難所運営へ役員が参加するよう説得するのに苦労する。避難所の開錠に対応できる人が高齢化。高齢であるため、夜間の災害対応は負担。緊急時の災害対応は家族も心配であり、団体の重い責任もある。災害はいつ発生するか分からず、主に土砂災害に気を付けており、雨の時期は防災役員全員に気を配っている。

・団体の人材育成の取組として、防災士などの資格取得の奨励、各種講習会への参加がある。

3.町内会・自治会結成地域の住民を対象(6,000人)としたアンケート調査(回収率41.9%)から:

・地域で生活するうえで不便や不安に感じていることがあるか、との問いに対して「災害時の助け合いの準備ができていない」が最も多い回答。

・自分の暮らす地域で今後参加してもよいと思う活動はあるか、との問いに対して「防災活動」が最も多い回答。

・地域活動のどんな情報が気になるか、との問いに対して「お祭り・親睦行事の情報」に次いで、「防災活動の情報」の回答が多い。

4. 町内会・自治会未結成地域の住民を対象(1,000人)としたアンケート調査から:

・地域で生活するうえで不便や不安に感じていることがあるか、との問いに対して「災害時の助け合いの準備ができていない」が最も多い回答。

・地域に関する情報でどんな内容を知りたいか、との問いに対して「防災活動の情報」が最も多い。

・今後、自分の住む地域に町内会・自治会があったほうが良い、と思う人にその理由を尋ねた結果、「防犯・防災活動を行うことで、地域の安全・安心を保つことができる」との回答が最も多い。

以上紹介したアンケート調査結果から分かるように、防災に関連して市民の町内会・自治会に対する関心は高まっているようです。地球温暖化による気候変動は深刻になりつつあり、現実に豪雨、水害、土砂災害などは激甚化しているし、大地震や新型コロナのような感染症による災害もあります。そのような時代に生きる市民として、近隣の人びとによる助け合いの要望が反映されている調査結果だと思います。住民が町内会・自治会に協力して、お互いに助け合えるコミュニティが実現すれば良いですね。「必要は発明の母」と言いますから。(中島正博)

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