町内会の行事で役員の負担を軽減する改革

わが町の町内会の秋祭りのお手伝いをしました。写真は「ふわふわドーム」と名付けられた大きな風船のような遊具です。私の役割は、この遊具で遊びたい子どもや保護者から一人100円をもらい、入場の順番が混乱しないように並んでもらうことでした。子供たちは風船の上でトランポリンのように飛んだり跳ねたり大喜びでした。

このような楽しい遊具は町内会の過去のお祭りにはありませんでした。そんな遊具が現れたのは昨年から町内会のお祭りの実施方針が変わったからです。それはお祭りを企画、実施する町内会の世話役の人たちの負担を軽くすることです。例年の町内の夏祭りでは、世話役の人たちが設営をして、飲食の用意をして売り、子どもの娯楽も担当しました。町内会の世話役の負担が重いこともあって、住民が町内会に加入することを敬遠し、加入率は全国で低下する一方です。また世話役の人たちは高齢化しています。わが町内会でもそんな悩みを抱えていたので、負担軽減の方策が昨年のお祭りから実施されました。

負担の軽減策は大きく二つです。一つは夏の納涼会を止めて秋のお祭りにすることです。夏祭りは夕方からの納涼会ですが、設営などの準備は暑い日中から始めます。屋外の公園での作業には熱中症などの大きな危険が伴います。そこでわが町では、御神輿のお祭りと開催日を一緒にして、「わんぱーく祭り」と名付けて秋に実施することにしました。二つ目の軽減策は、住民への食事の提供と、子どもが楽しめるエンターテインメントを外注化、すなわちアウトソーシングをすることです。

今年のお祭りで提供した焼きそば・弁当・ベーグル・ドーナツなどの食べ物は、すべて業者に任せました。今年は予定したキッチンカーは都合で来られませんでした。また先に紹介した「ふわふわドーム」や他の射的・輪投げ・サイコロゲーム等もすべて道具は業者が搬入して、その運営を役員やボランティアがお手伝いしました。私の役割はそのお手伝いだったのです。ダンスや太鼓の演技などのエンターテインメントは、近隣の公民館や地域で練習をしている子どものグループが日ごろの成果を披露してくれました。

町内の世話役は、全体の企画、運営、テント張りや机・いすの設営などの場づくり、お米・野菜、ビール・ジュースなど限られた品目の販売をしました。そしてお祭りのメインイベントである抽選会も、町内会が直接携わりました。抽選会では町民の当選者の名前が一人ひとり呼ばれるので、町内の催しとしての雰囲気が演出されたようです。また近隣の町から来た子どものダンスや太鼓のグループは、町内の子どもも参加できる身近な存在です。食事やゲームなど多くを外注に頼っているとはいえ、町内会役員や住民ボランティアがお手伝いをしているので、祭りの運営者たちと祭りに参加する住民との交流も生れます。

私が手伝った「ふわふわドーム」の場所では、小学生の登校の見守りボランティアで私が毎朝会う子どもが私を見つけて、「あっ、朝ハイタッチする人だ」と驚いていました。見守りで顔見知りの子どもたちを祭りで多く見かけたし、後日「お祭りで見たよー」と登校時の子どもたちから言われました。子供たちにとって大人は大切な存在です。子どもが知っている大人は親と学校の先生だけなので、ボランティアなどの身近な大人は子どもの心の成長に大切なようです。一般に大人でも、「町内会行事に行っても、知り合いがいないのでつまらない」という声をよく聞きます。ですから町内会行事で、知り合いや顔見知りと交流できる意義は大きいし、祭りの企画・運営の観点から、町民の交流の機会を増やすことは、これからの課題でしょう。

今年の夏は特に暑く、熱中症の恐れが大きかったので、夏の納涼会を秋の祭りに変えた意義は大きいと思います。温暖化は今後もさらに増すでしょうから、町内会行事も気候の変化に適応する智慧は必要です。また夫婦共働きの社会ですから、町内会の世話役の負担を軽減する努力も不可欠です。しかし夏祭りの伝統を変えることには、他の町内会では役員の抵抗が意外に大きく、近隣の町内会の中でもわが町のような、改革の試みはまだ珍しいようです。町内会は時代に合わせて自己変革を図らなければ、近年のジリ貧状態を脱することは難しいだろうと私は思いました。

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