私たちの健康と地域コミュニティ

NHK総合テレビの人気番組「ためしてガッテン」(2018年6月6日放送)によると、私たちの健康には「人とのつながり」が必要だそうです。「コミュニティづくり」にも関連するので、このホームページで健康と「人とのつながり」について記事を書きました。番組のホームページでは以下のように放送内容が3点に要約されています。第1に、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のスティーブ・コール教授の研究によると、 「人に親切な行動」を1日3回1ヶ月間行った人では、体内の炎症を促す遺伝子の働きが抑えられることが分かりました。

第2に、イギリスでは、今年1月、孤独担当大臣が誕生しました。今世界中で「孤独の健康影響」が深刻に受け止められています。例えばロンドン大学の研究では、50歳以上の男女6,500人の「人とのつながり」を調べ、7年間追跡を行ったところ、人とのつながりが少ないグループの方が死亡率は高いことが分かりました。

第3に、世界的にインパクトを与えたのが、アメリカで発表された148研究(対象者およそ30万人)をメタ解析した研究結果です。長生きに影響を与える要因を調べたところ、肥満解消、運動、禁煙よりも「人とのつながり」が長生きへの影響力が高いことが分かったのです。日本の研究でも、「人とのつながり」が「運動」よりも寝たきりの危険度を下げることが明らかになってきています。以上のような研究結果として、「人とのつながり」が「最強の寝たきり予防法」であるとのことです。(以上の3点は「ためしてガッテン」のホームページから)

健康を維持するために食事が重要なのは言うまでもありません。加えて運動をしていれば健康を維持できると思っていました。健康上の生活習慣について、お医者さんからアドバイスされるのは食事と運動です。健康のために「人とのつながり」を大切にするよう、言われたことはありませんでした。食事と運動は必要ですが、それだけで十分とは言えないようです。身体的な健康について、「人とのつながり」が運動よりも効果が大きいことは想像外でした。お医者さんの健康アドバイスに、「人とのつながり」も加わるようになるのでしょう。「人とのつながり」について生態学的に考えると、自然の一部である人間も他の生き物と同様に、コミュニティの中で生きることが自然で健康的なのでしょう。

「人とのつながり」といえば地域コミュニティの必要性を思い浮かべます。特に高齢になるほどそうでしょう。現役時代は職場等で「人とのつながり」はありますが、退職すると同時にそのつながりは激減します。趣味などを通した「人とのつながり」も効果的でしょうが、誰もがそのようなつながりを持っている訳ではないでしょう。

コミュニティと言えば自分が住んでいる地域コミュニティが近い存在です。それで現役の人も退職した人も、地域社会とのつながりが望まれます。しかし、都市社会では近隣住民と縁もつながりも無い場所に住み始めることが一般的です。初めはつながりがないので、つながりづくりが必要ですが、その切っ掛けが少ないのも都市社会の特徴です。待っていても切っ掛けは生まれないので、積極的に出かけて縁をつくる、という「生活習慣」が大切でしょう。

私はホームページづくりのために、自宅でパソコンを前にしている時間が長いのですが、一日に一度は私の住む地域に外出するようにしています。ほぼ毎朝、小学校の児童見守りのために、通学路に立って子供と挨拶を交わしています。子供の反応は個性的で面白いです。子どもの顔を少しずつ覚えて、小さなつながりが生まれます。その直後は、ウオーキングやスロージョッギングの時間ですが、道すがらの挨拶が生まれます。昼前後は自宅近くのスポーツジムにほぼ毎日通って、エアロビクスや水泳教室に参加します。その参加者は圧倒的に中高年の女性が多く、男性はマイノリティですが、少しずつ挨拶や会話が生まれるようになります。火曜日は地域包括センターが支援し町内会が主催する太極拳のクラスに参加します。また木曜日はフルートの練習のため、近所に住む先生に指導してもらい悪戦苦闘しています。

このような努力は私の退職後に意識して続けていることです。家に引きこもっている方が大いに楽なのですが、心身や脳の健康には良くないと自覚しました。この生活が今後どのようになるかは私の努力次第でしょう。このように外出していると、地域の人とのつながりが、退職後に少しずつ増えました。この他にも毎週ではないけれども、月や年に1度の集まりとか、季節的な町内会の行事にも参加しています。

さて皆さんは如何でしょうか。もし引きこもりに近い生活の人がいらっしゃれば、「ためしてガッテン」に学んで、「人とのつながり」の機会を増やしませんか。それは結果的に、「寝たきり」を防ぎ、さらにコミュニティづくりにおいても、住みやすい近隣社会の創造に貢献するはずです。地域には町内の住民向けの掲示板がたくさんあります。公民館にはもっとたくさんの地域活動の案内があります。注意してみると面白そうなものがあるでしょう。(中島正博)

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