4月下旬に認知症カフェに参加してきました。前回の参加は2年前のコロナ禍直前でした。コロナ禍で多くの認知症カフェが活動を停止しましたが、3月のまん延防止等重点措置の解除により、やっと私の近隣地域のカフェも活動を再開したようです。私が参加したカフェの存在は、広島市認知症地域支援推進員の方を通して知りました。因みに認知症地域支援推進員というのは、認知症の方が住み慣れた環境で暮らし続けることができるように、地域の実情に応じて医療機関、介護サービス事業所や地域の支援機関をつなぐ連携支援、認知症の人やそのご家族への支援・相談業務等を行う人のことだそうです。
かねてから住民交流の必要性を私は感じていますので、広島市の研修を受けて認知症サポーターになっていましたし、近隣の認知症カフェではどのような住民交流がされているのか知りたいと思い参加しました。カフェの場所は公民館の研修室が使われていました。他の近隣の認知症カフェが使用している場所を見ると、多くは公民館であり、その他に病院が多く、集会所や小学校も使用されています。
カフェの開催時間は1時間半でした。参加者は一つのテーブルに4人座り、テーブルの数は6つ位だったでしょうか。最初に参加者は名札をもらい、カフェの責任者から参加者全員の紹介がされました。
次に参加者全員で歌を歌いました。このカフェに参加する人たちのテーマソングと、4月の歌として昔懐かしい「青い山脈」や、東日本大震災の「花は咲く」などの歌です。ハーモニカの伴奏つきでした。私は震災に遭っていないのに、私の心でトラウマが蘇るのか、なぜか歌えなくなることを今回も経験しました。皆で歌を歌うことは参加者が心を開くのに大変効果的だと思いました。
次に参加者のリクエストに応えて、訪問看護の専門家が認知症に関する話とそれを予防する心身の運動を紹介してくれました。例えば、「昨日の夕飯は何を食べたか」に答えられなくても認知症ではないが、「今日の朝ご飯を食べたかどうか」を覚えていなければ、認知症の疑いがある、などの具体的な例の紹介でした。認知症予防に効果的な足腰の運動として椅子からの立ち座りや、「しゃきしゃき体操」と呼ばれる頭と体を同時に使う体操、例えば言葉のしりとりをしながら足踏みを同時にする体操を教えてもらいました。また豊かな人間関係、交流のある環境をつくることが認知症対策にもなること、など交流のある地域社会をつくることの大切さを強調されていました。そのような元気な地域環境をつくれば、住む人も元気になるそうです。
次に各テーブルの人たちでおしゃべりをしました。私のテーブルには認知症地域支援推進員の方が座っておられたので、私の住む地域にも認知症カフェができればいいね、どんな場所でできるだろうか、どんな人がカフェづくりに関心があるだろうか、カフェではどんなことができるだろうか、などと話し合いました。カフェのスタッフとして応援するのは気軽にできそうだが、責任者としてリーダー役をするのは覚悟が要るように感じました。
今回、このカフェに始めて参加した人たちが感想を求められ、私もカフェのメニューとしていろんな可能性があることを発見した旨、皆さんに話しました。最後にカフェの責任者から、来月のカフェではウクレレの演奏会をしたいので、曲名のリクエストをして欲しいこと、お話としては「地域包括」の人に話をしてもらうことなどが伝えられ、4月のカフェの終了となりました。
私は「認知症カフェ」の言葉がカフェの参加者に抵抗感を抱かせはしないかと危惧していました。「認知症」を患わった場合、他人に知られたくないとの心理が働くのではないか。そうすると「認知症カフェ」に参加しづらくならないだろうかと。例えば「子ども食堂」には最初それに似た心配がありましたが、今ではこども食堂には高齢者でも誰でも参加できて、多様な人と交流できることに価値が認められています。しかし認知症の人には地域の人による見守りや支援が必要なこともあるので、支え合いの役割は共通していても、子ども食堂とは異なる配慮も必要でしょう。広島市西区の認知症カフェのリストを見ると、目的は認知症カフェですが、カフェの名前は「認知症カフェ〇〇」ではなく、例えば「笑福カフェ」などと工夫して各々魅力的な名前にしているようです。認知症のメニューとしては認知症関連のものと、誰でも楽しめる交流の場にすることが望ましいと思いました。(中島正博)。