平時の生活において有時の備え

第6波の新型コロナウィルスまん延防止等重点措置が3月21日をもって全面解除されました。社会経済活動を制限する弊害も大きく、全国的に感染者は減少傾向にあるので、全面解除に踏み切ることになったようです。

これまでの経験や研究で感染に対処する知見はある程度得られたので、日常の対策やワクチン接種で感染者を減らし、もし感染したら飲み薬で治癒する見通しなのでしょう。今でも全国で毎日100人くらいの死者数が続いているし、今後この感染症がどのような経過をたどるか、分かっているわけではない。しかし社会経済活動を制限したままにすることはできないので、これからはコロナウィルスとの共存を視野に入れながら前に進む他ないのでしょう。

重点措置の解除によって、私の町内でストップしていた活動が再開されました。私が参加する町内の太極拳グループの活動が約2カ月ぶりに再開されたし、友人が参加する町内の百歳体操も再開され、町内の公園の清掃も人海戦術で行いました。社会福祉協議会、民生委員、町内会などの会合や活動も再開されたようです。

町内の住民の中には、2カ月の間に体が弱くなった、認知が進んだ人がいるとの声が聞こえてきます。高齢になると身体能力の下降傾向は、活動を休んでいる時間の経過とともに顕著になります。高齢者施設では家族との面会が制限されたせいで、入所者の認知症が進みました。私は児童の登校見守りや水泳やウオーキングを毎日続けているので、身体の弱体化は感じません。地域社会の活動中止や高齢化に備えて、健康を維持する自分なりの日常的な習慣を身に付けておくことが役に立つと思います。今回のパンデミックを経験して、心身の健康を保つ習慣や知恵を身に付けた人も多いことでしょう。そのような習慣を毎日の生活の文化として定着させることもパンデミックの教訓の一つでしょう。

日常の普通の活動ができる時には、甚大な災害などによる非常時に備えて、できるだけ日常を維持する手段・方法を用意しておくことが必要でしょう。近年は災害が頻発しており、「明日は我が身」かも知れない非常時が起きています。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」人の常を克服したいです。インフラなどのライフラインに限らず、非常時でも機能するようなバックアップが必要です。これまで想定していた防災のレベルを上げることも必要でしょう。社会経済活動の危機管理や事業継続計画の策定も不可欠です。それは社会の多くの分野にわたるでしょう。家庭でも災害や犯罪に対する備えが必須です。

そのような非常時の備えが、平時の欠陥を是正することも多くあるでしょう。例えばさまざまな弱者の窮状がコロナ禍で見えたことは、平時においても不安定な状態にあることを物語っています。社会を構成するあらゆる活動は、網の目のように関わり合っていることを、コロナ禍の最中に学びました。コロナ禍で影響を受けなかった人は皆無と言っても良いでしょう。今一度社会の総点検を行い、「誰も置き去りにしない」文化の実現に向けた努力が必要です。

今後、地球温暖化による異常気象や生態系の変化、いつか起きる大地震、ウィルスによる感染症、国際情勢の急変による影響など、非常時を乗り越えて希望を失わない心の強さが求められるでしょう。何があってもあまり悲観的にならず、「冬は必ず春になる」という希望の法則を信じたいと思います。(中島正博)。

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