3.シェアリングエコノミーとシェアリングシティ~都市コモンズとその可能性~

コミュニティづくりとシェアリングシティは表裏一体であると私は考えています。今回は“Sharing Cities: Activating the Urban Commons”の「イントロダクション」(Neal Gorenflo執筆)の最後の紹介です。シェアリングシティの最も大事な要素は「都市コモンズ」です。それがなぜ重要かと言えば、都市の改革のためには、市場や技術や自治体ではなく、住民がカギになる存在だからです。Gorenflo氏にとって「コモンズ」とは何でしょうか?

David Bollierは以下のようにコモンズについて述べています。

  • コミュニティが市場や国家に最小限に依存する状況の中で、コミュニティ自らが資源の利用と管理を組織化するシステムです。
  • 私たちが前世代から引継ぎまた創造した富や資源(コモンズ)は、それを減らすのではなく増やして、子供世代に引き渡さなければなりません。私たちの集合的な富(コモンズ)というのは、自然の恵み、市民のインフラストラクチャー、文化的な作品や伝統や知識などです。
  • 住民の経済活動や生活は(コモンズにより)いつも当たり前のように価値を生みましたが、その経済活動や生活は市場や国家によって度々危険にさらされました。
  • コモンズは単に資源やそれを利用する人びとのことではありません。資源とその利用者の「関係」がコモンズの最も大切な要素であり、資源の利用者自身がその利用を制限し管理するための統治のことです。

コモンズは都市問題の解決に有望なアプローチです。コモンズ研究は歴史的に農村地域の灌漑、漁業、森林などの自然資源に焦点を当ててきましたが、都市コモンズに関する研究はかなり新しいのです。従ってコモンズの活動家が指摘するように、コモンズが都市の資源管理の新たな支配的な枠組みになるかどうか、特に社会的な力が無くなっている都市では、今後の動向を見なければなりません。とは言っても、都市開発において、コモンズは画期的に重要な位置を占めるべきである、とShareableは考えています。国家や市場を排除することではなく、コモンズと国家と市場の3領域の役割をよく見て、それぞれの過度な役割が制度的に調和するよう管理し、それぞれの強みを伸ばさなければなりません。自由市場の学説を今後コモンズの学説と置き換える訳ではないのです。コモンズ理論でノーベル経済学賞を受賞したオストロムがかつて言ったように、コモンズは「万能薬」つまりすべてに対する解決法ではありません。

シェアリングシティの創造に求められるのは資源やモノというよりも思考態度であり、以下のような原理で特徴づけられるダイナミックかつ参加的なプロセスであると言えるでしょう。

●連帯
都市の変容において、コミュニティが主役を演じることが、シェアリングシティの「物語」なのです。アテネの黄金時代のアリストテレスは、アテネは住民の幸福のために存在すると考えていました。同様に、このシェアリングシティの物語では、人びとは希少資源の争奪ではなく、人びとの共有財(common good)のために共に働くのです。シェアリングシティは人種、階級、社会的性差、性的関心、能力に関係なく、すべての人々によるすべての人々のための都市なのです。

●分散的な構造
シェアリングシティは都市開発における産業的なモデルをコモンズ志向へ変化させます。つまり前者の産業的なモデルは、都市の別々のゾーンに異なる機能を集中し纏めて処理しますが、後者のコモンズ志向の都市はネットワーク構造であり、都市のあらゆる所に多くの機能を分散しリアルタイムで処理します。(人びとが住む場所で生じる様々なニーズを、その場で処理する機能を都市が備えるのです。)シェアリングシティの分散的な構造は、もし都市が民主的に運営されれば、住民の健康、富、資源の効率などを画期的に向上させる可能性があります。

●私的な充足と市民の潤沢
George Monbiotから引用すると、「個人の贅沢をすべての人が楽しむためには、物理的また環境的な空間が充分にありません。なぜなら個人の贅沢は、(占有による剥奪で)、空間的な余裕を無くすからです。しかし公共の素晴らしい楽しみ、つまり公園、遊び場、スポーツセンターやプール、画廊、市民農園、公共輸送ネットワークなどは、少額の費用ですべての人の空間を創造できます」。公共的または市民的な潤沢さには、パブリックスクール、大きな広場、散歩のできる大きな都市景観、自転車道路、貸出可能な図書館、ミニ公園、協働空間、文化センター、共同の子供預り施設、食料配給所やもっと多くのものが含まれるでしょう。シェアリングシティは潤沢さや称賛への道であり、消費削減(低消費化)が示唆するような不足や単調さへの道ではないのです。

以上、重要な3つの原理について紹介しました。その他6つの原理に関して述べていますが、それは省略して今回の紹介はこの辺りで終えます。これで「イントロダクション」の説明を終えましたので、次の第4回から実際の事例を紹介します。事例ではシェアリングシティがさらに具体的に明らかになるでしょう。(中島正博)

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