「もとまち自遊ひろば」の会は、こどもたちが地域でのびのび遊び育ち合える環境づくりを思い、都市公園の広島市中央公園で月2回、「もとまち自遊ひろば」を広島市の冒険遊び場事業として開催しています。「自由な発想でおもいっきり遊ぶ」こどもの遊び場です。
自遊ひろばには、木・土・水・芝生広場など自然の環境と、大工道具やロープ、廃材などがあります。好奇心から生まれる遊びは、創意工夫で無限大に広がっていきます。こどもの遊びを歪めないように、また大人もこどもも安心して遊べるように、みんなで見守りあう雰囲気づくりをしています。お互いにとって自由な遊び場であるために、ここでは「怪我は自分の責任」という考え方を大切にしています。趣旨に共感して下さる親御さんたち数名が自主的に「みまもり隊」を組織し、遊ぶこどもたちの見守りの他、親御さん同士の繋がり形成にも貢献して下さいます。もちろんこどもの様になって遊ぶ大人もいます。「ゆうえん隊(遊援隊)」というひろば運営のスタッフは、市民の有志の集まりで、高校生から70歳代の方まで約30名おり、毎回の活動に約7、8名が参加しています。これらのグループに、学生を中心としたボランティアが数名加わって、一日の自遊ひろばを運営しています。
広島市基町にある「もとまち自遊ひろば」は、こどもの遊び場づくりにおいて重要な地域住民が主体なのではありません。自遊ひろばの立ち上げの経緯から、まちづくりに取り組む「NPO法人セトラひろしま」が広島市から事業を受託し、こどもの遊び場づくりに興味をもつ市民の有志の会が現場の運営を行っています。そんな行政・NPO団体・市民の会の3者の関係性で成り立っています。行政は、委託金としての資金提供の他に、公園使用の許可を公園管理担当の緑政課から毎回取り付けたり、行政発信という信頼をのせて広報に協力して下さったりしています。有志の「もとまち自遊ひろば」の会では、ゆうえん隊(現場スタッフ)やみまもり隊(保護者の会)が、現場で柔軟に自遊ひろばの一日を運営して下さっています。セトラひろしまは、自遊ひろばの会がより主体的に、自由な活動を行えるように、その他の諸々の雑用を含む調整役をしています。筆者は、自遊ひろばの成長を追うかのように、ゆうえん隊からセトラひろしま会員になりました。地域の抱える課題は様々です。場のもつ背景もいろいろあります。そんな中でも、立ち上げ当初から応援して下さっている地元社会福祉協議会の会長さんは、遊び場に対する地元住民の方々の意見の窓口となり、協力的に対応して下さっていました。
このような元々は地縁のなかった「もとまち自遊ひろば」の活動ですが、逆にまちづくりの活動をするセトラひろしまの繋がりで、アートに関わる様々な方が遊びに来たり、各地から来る親御さん同士のコミュニティが生まれたり、知らないこども同士が回を重ねるごとに仲良くなっていったりします。その内に朝の準備を手伝いに早くやって来るこどもも現れました。しばらく遊びに来ていなかったときには、「顔をだしとかんといけんかなぁ~と思って」とはにかんで小2の男の子が言うのです。このように遊び場を継続していく内に、「もとまち自遊ひろば」という新たなコミュニティが形成されてきていることは、おもしろいと思います。(NPO法人セトラひろしま理事 六百田裕子)
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