わが町で初めての認知症カフェをオープン

わが町で最初の認知症カフェがオープンしました。昨年の4月、5月、6月と3度に亘って、認知症にやさしい町づくりについて、私たち町内の住民は集まって学んで、話し合いを続けました。その様子は「認知症にやさしい地域づくりを考える(1)(2)(3)」の記事でご報告しました。私も含めて、これまで学び合いと話し合いを続けた住民は、認知症カフェを設置したいと一人勇敢に立ち上がった町内の方を、支援することになりました。私たちのカフェの正式名は、「多世代交流認知症カフェ “つながる”」です。毎月最初の土曜日に集会所でカフェを開催します。私たちの集まりは認知症カフェですが、高齢者だけでなく子供も含む多世代間の交流を大切にしたい、という思いがカフェの名前に表れています。

わが町最初の「つながる」カフェは6月2日土曜日午前10時からオープンしました。私たち支援者はその30分前に集まって準備を始めました。主催者たちが作った立派な看板が玄関に設置されました(この記事の写真)。主催者の思いが真新しい看板の言葉に表れています。支援する私たちはテーブルや椅子を並べます。椅子を並べようとしますが、何人のお客さんが来るか、まったく予想ができません。実は「認知症カフェ」は、認知症当事者やその介護をしている家族と、地域住民との交流を目的にしているものの、当事者や家族はカフェへ行くに際して、その参加を他人に知られたくない、という心理的なバリアーに直面するのです。その結果、認知症カフェを設置したけれど、来て欲しい人たちに来てもらえず、カフェを閉めてしまった事例があるそうです。このカフェの協力団体である地区社会福祉協議会は、何百枚ものチラシを作って、地域住民に周知を図りました。しかし参加者の予想は不可能です。結局、お客さんの予想ではなく、部屋の大きさに合わせてテーブルと椅子を16人分並べました。もし運よく数が足りなくなれば、その時に付け加えることにしました。

カフェのオープンの10時になりました。純然たるお客さんは3人であり、私も含めてその他の関係者つまり支援者は10人以上です。お客さんはゼロの可能性もあったのですが、初回としては悪くないようです。認知症当事者の方は来ていませんが、介護する家族の方が1人と一般住民の高齢者が2人です。その他は民生委員や地域包括支援センターや町内会長や認知症サポーターなどの支援者の人たちです。お客さんたちは支援者の人たちとおしゃべりをしています。お客さんと地域住民の交流がカフェの主目的なのでそれで良いのですが、カフェの2時間をどのように演出するかは、それぞれのカフェの知恵の出しどころです。お客さんの望みに沿うことが一番良いのでしょうが、おしゃべりをしたいお客さんもいるし、イベントを望むお客さんもいます。福祉施設のデイケアサービスではないので、カフェではお客さんと地域住民の交流がもっとも大切でしょう。このカフェで何をするかは走りながら模索することになるでしょう。

開始時刻の後間もなく、小学生の可愛い子ども達4人がエプロン姿で現れました。子ども達は各テーブルで飲み物の注文を聞いて回ります。「多世代交流認知症カフェ」らしく若い世代の出番なのです。子どもたちと接すると、高齢者は無条件で顔がほころびます。子ども達にとっても、おじいちゃん・おばあちゃんは優しい人たちでしょう。お互いに相性が良く、特に認知症カフェには相応しい組み合わせだと思います。

私は広島市の「認知症サポーター」として登録しています。経験豊富な「認知症サポーター」の方が今回のカフェに参加されたので、私はその方とお話をしました。そのサポーターの方は奥さんが認知症で本人はその介護者です。最近この町の路上の掲示板を見て、このカフェの開店祝いに来たとのこと。彼は近隣の多くの認知症カフェに参加して、認知症カフェの実情に詳しいので、お話を聞いて学ぶことができました。私たちのカフェは広島市西区では14番目の認知症カフェだそうです。病院が主催するカフェや地域団体が主催するカフェなど、西区の認知症カフェのすべてに参加して、それらのカフェで行われる内容を知っています。勉強会型、イベント型、おしゃべり型、それらのミックス型などがあるようです。最初おしゃべりをして、次に講演や歌などのイベントを行い、最後におしゃべりで終わるタイプが多いとか。病院が行うカフェでは講師が話す勉強会型が多いそうです。講師に依頼するに場合は、その講師の候補の一覧表があるので、それが役立つとのこと。お客さんは地域包括支援センターの紹介で来る人が多いこと等、このカフェの今後の運営に役立つことなどを話してくれました。

このようにして第1回の認知症カフェは昼過ぎに終了しました。第2回のカフェは7月の最初の土曜日です。認知症の人たちにやさしい地域づくりができるよう、この町の認知症カフェとして成長するべく、私は支援者としてお手伝いをしたいと思います。(中島正博)

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