地域コミュニティは人の生死や「生活の質」に係る大切な存在です。例えば、大災害の時に住民が助け合うためには、コミュニティが必要です。高齢化社会の時代に、地域社会の中で、自宅で生きるためにも、コミュニティが必要です。皆さん既にご承知の事です。しかし、それを知っていれば地域コミュニティは自然に成長するでしょうか。その答えは日本社会の現実が示しているでしょう。地域コミュニティがしっかり成長するには、地域住民の相互の交流が不可欠だと思います。大災害の時の助け合いを紙の上で計画するだけでは、そんな大変な時に実際に機能するかどうか疑問です。だから多くの地域では実地の防災訓練が実施されています。それに加えて最も大切なことは、コミュニティが成長する機会を日ごろから増やすことではないでしょうか。その機会の一つは地元の町内会や自治会などが主催する行事です。行事に参加すれば、どんな人たちが自分の地域に住んでいるのか、少しずつ分かるでしょう。
そこで提案があります。夏にはほとんどの地域でお祭りや納涼会が行われます。そのお祭りや納涼会を準備するためには、多くのボランティアの人たちが必要です。つまりお祭りなどの準備はプロセスであり、実際の当日の行事はその結果です。結果の行事に参加しても地域の人たちと知り合えますが、その準備段階のお手伝いをすれば、さらに多くの人と話し合ったり、役割を分担したりして、お互いに交流します。行事が終わったら、もう互いに挨拶する仲になっているでしょう。
どうすれば行事の準備段階に参加できるでしょうか。もし町内会長さんを知っていれば、「お手伝いできます。」と伝えれば良いでしょうが、誰が町内会長か知らない人も多いでしょう。もしそうであれば、自分が住んでいるアパートやマンションの顔見知りの人に聞いたら分かるかも知れません。あなたがよく行く個人商店の主人も知っているでしょう。本来なら地区の掲示板にボランティアを募集する呼びかけがあれば良いのですが…。しかし「お手伝いします。」と自分から手を挙げる人があまりいなかったので、そのような呼びかけをしていないのでしょう。さらに行事そのもののPRも不足しているように思います。町内会自体もこれから変わらなければなりませんね。私の場合は、町内会の役員を通して、7月29日の納涼会の準備を手伝うと伝えています。当日朝8時半からかなりの作業があるそうです。
もし行事の準備段階の日時にあなたに他の用があれば、行事の当日に知人を誘って参加しましょう。多くの町内会・自治会の悩みの一つは行事の参加者が固定化していることです。その結果コミュニティは広がりません。行事に来てくれる何倍もの人たちが町内に住んでいるのに、彼らは「引きこもり」状態になっているのです。「納涼会に行ってみよう。」と誘えば、参加者が広がります。それは地域コミュニティの成長を促進する一因になるでしょう。このようにして年に何度か行われる行事に参加していれば、町内に知り合いも増えてくるでしょう。そして地域コミュニティの成長に繋がると思います。それが現在と老後の「生活の質」を向上させるでしょう。(中島正博)