西日本豪雨の被災と復旧の語り部に代えて~第5回 9月の1カ月間

今回、注目するのは豪雨災害後、約3カ月目の9月の1カ月です。中国新聞朝刊から作成した災害関連記事の見出しデータの表を文末に掲載し、それに基づいて被災から復旧に向けた動向を解説します。9月も大型台風21号と24号に見舞われました。猛烈な台風21号が西日本に接近し(2日の記事、以下同様)、豪雨災害の被災地に避難指示が出され(2日)、山陽新幹線や高速バスが運休し(4日)、豪雨災害の土砂が残る沼田川で不安が高まり(4日)、中国地方の物流が混乱し商工業も打撃を受け(6日)、大阪とその周辺で死者11人や関西空港が閉鎖(6日)するなどの被害がありました。台風24号により山陽新幹線と中国地方の在来線は計画運休をしました(30日)。

9月も鉄道や道路の各区間の再開が続きます。芸備線の東城~備後落合が再開(1日)、広島~三原で新幹線の代替運行が終了(4日)、井原鉄道が2ヵ月ぶりに全通(4日)、山陽線の瀬野~八本松と柳井~下松(8日) が再開、呉線の坂~呉(8日) さらに坂~広も再開(11日)、山陽線の瀬野~白市が再開(11日)しました。坂~広の再開で都市圏の通勤・通学の日常が戻りました(11日)。広島~呉の国道31号線も復旧しました(13日)。広島呉道路が27日に全線復旧し復興が加速しました(8、22、28日)。岩徳線の周防高森~櫛ケ浜が再開し山口県内は全区間復旧しました(23日)。山陽線は白市~三原が86日ぶりに復旧しました(29日)。山陽線は30日に全線開通する予定でしたが(29日)、台風24号による土砂崩れで柳井~下松の再開ができず、全線開通は10月になりました。

被災住民の生活再建を支援する動向は以下の通りです。三原市で仮設住宅への入居申請が行われました。しかし家屋の修理補助と併用できないためか、県が建設した31戸に対して申請は10件と低調でした(1日)。呉市の天応と安浦地区で57世帯が、仮設住宅へ入居を開始しました(3日)。坂町の仮設住宅へ46世帯が入居を開始しました(4日)。広島県では209戸の仮設住宅の整備が進んでいました(7日)。坂町で仮設住宅の2期分が40戸完成しました(29日)。

大量の土砂のため復興は途上であり、豪雨後2カ月の避難生活者は広島・岡山県で約1000人(5日)、広島県内は343人(7日)でした。広島市災害ボランティア本部によると、土砂撤去については住民の依頼の9割を達成しました(21日)。広島県内のボランティアは2カ月で10万人を数えましたが、呉・三原・坂で未対応の土砂除去などの依頼はまだ400件残っていました(22日)。

被災者ケアを行う拠点が12市町に設置される予定ですが、その第1号の「地域支え合いセンター」が広島県熊野町に開設されました(8日)。広島市安芸区矢野には被災者の交流サロンが生まれました(11日)。広島県は被災地の子どもの心のケアをする巡回面談チームの派遣を、熊野町から始めました(13日)。広島文京女子大学は被災者の心のケアをする無料相談をしました(14日)。被災者を応援するために、動画を公開したり(16日)、チャリティ映画会とたる募金をしたり(18日)、神楽を各地で演じたり(20日)しました。

広島県立大学は防災研究センターが新設して(2日)、避難を促す仕組みを探ります (5日)。広島市安佐南区伴学区は住民大会を開き、防災へ向けて地域住民が助け合う「共助」の推進を確認しました(3日)。広島大学が防災研究拠点の設置を決定しました(2、14日)。7月6日に豪雨で被災した地区で何が起きたのか、中国新聞朝刊は「その時」と題する連載記事で、第1回は広島市安芸区矢野地区(7日)、第2回は熊野町川角大原ハイツ(14日)、第3回は広島県坂町小屋浦地区(21日)、第4回は三原市本郷町船木地区で起きた出来事を詳細に報じました。広島県内の22市町では避難情報の文言や指示基準を見直す(23日)ことになりました。

豪雨災害の教訓から、危険箇所や避難路を地域で確認する取り組みを、熊野町の自治会住民が始めました(26日)。尾道市は被災時にほぼ全域が断水した経緯から、災害時の生活用水確保に備えて「共助の井戸」の制度化を検討します(26日)。他方、2017年に義務化された水害避難計画の作成は、全国5万か所の老人福祉施設や学校などで、18%に止まっていることが分かりました(29日)。

いのちを守るための「早めの避難」をどう徹底するか、行政と住民に関する課題を探る「検証」の連載記事が9月から掲載されました(24日)。第1回は過去被害がなかった住民の経験が自身の避難の判断を遅らせて、明るいうちに逃げず危険な暗闇の避難に至った事例(24日)、第2回は情報提供が後手に回った事例(25日)、第3回は勧告を早めたために、勧告の頻度が増え、住民が勧告に慣れて避難が進まなかった事例(26日)、第4回は土砂災害警戒区域の危険性の周知が不十分なため、住民の避難を促すことに繋がらなかった事例(28日)、第5回は危険な暗闇の中を自宅から逃げるか、危険を避けて自宅に残るか、という難しい判断に迫られた事例(29日)、第6回は災害弱者の要支援者を救う態勢が、地域住民の中で整っていなかった事例(30日)などです。

広島県中小企業家同友会が実施したアンケートによると、回答した中小企業の43%が何らかの被害を受けており、その内訳は物流の停滞や断水など間接的な被害(30%)が多く、浸水や土砂流入の直接的な被害(6%)もありました(12日)。中国地方の7月の鉱工業生産は11.8%ダウンし(15日)、8月の景況判断指数はマイナス22.8(12日)、豪雨によるマツダの減益見通しは6万7千台の生産減で280億円(22日)、宮島の8月の来島者は24.1%減(13日)、しかし復旧のための建設需要が大きく、広島県の8月の求人倍率は全国3位の2.13倍でした(29日)。三原本郷で被災したマックスバリュー店は15日に本格的に再開しました(15日)。

以上のほかにも、本文の後に掲載した表「記事見出しデータ」から分かるように、被災地の調査、災害の詳細、復旧の支援、災害への備えなど、多くの出来事が報じられました。

(中島正博)

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